Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その0
結果的に「あとがき」になってしまった「まえがき」

日記というからにはリアルタイムで書いてこそなのですが、LAに住んでいた当時はコンピュータを音楽以外で使ったこともなく、ましてや自分が文章を書くなんて思ってもいませんでした。このLA編、記憶を辿って過去のものとして書くのではなく「現在進行形での日記」というかたちをとらせてもらいました。だから、みなさんも98年2月にタイムスリップして僕達hide with I.N.A.がLAの青い空の下、8帖間のプリプロルームで2人してシコシコ音楽を創り続けている頃、自分はこんなことやあんなことをしてるんだぞぅ!なんて考えながら読んでみてください。それではハリキッテど~~ぞ!!

hide with Spread Beaver I.N.A.

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その1
hide with I.N.A. LAへ

'98 2/1この日hideとI.N.A.は、3rd Album 『Ja,Zoo』制作の為、LAへ旅立った。すでにレコーディング機材はLAに空輸してあるので、今回の手荷物はわりと少なめだ。(Zilch,DAHLIAツア-,LEMONedのアルバムが同時進行していた時期は、hide+I.N.A.と2名のスタッフで20数個にも及ぶ機材、手荷物を運んでいたのだ。)それにしても松本君のスーツケースは何故こんなに重いのか?多分、シャウエッセンがいっぱい詰まってるんだろうなぁ~。空港カウンターで搭乗手続きをしているとチケット手配のミスでI.N.A.ちゃんの席がエコノミーになっていた。(いつもはビジネスクラスなのだ!)風邪ひいて絶不調のI.N.A.ちゃんは、もう笑うしかなかった・・・ショック。だが、この後、松本君の温かさにふれることになるのだった。いつものように、成田国際空港第2ターミナル2Fのレストランで飯を食い終わった一行は、ターミナル内にあるファーストクラス専用ラウンジ(hideは当然ファーストクラスなのです。)でお茶することに。ラウンジ入口で受付のねえちゃんにチケットをみせるhide。続いてI.N.A.ちゃん。ところが『お客さま、申し訳ありませんがエコノミーチケットではこのラウンジを御利用することは、できません。』ときやがった。『いっしょなんですけど、だめですか?』とくいさがるhideの実弟でありパーソナルマネージャーの松本"fat free"ひろし。『申し訳ございません・・・。』しょうがねぇやと諦めI.N.A.とひろしが飛行機搭乗口へ向かおうとした瞬間『なんだよ、I.N.A.ちゃん入れねぇんだったら俺もいいや。』と松本秀人の一言。

搭乗口の売店横で団体旅行な人々に混じり、うんこ座りしながら煙草をくゆらせるhideを見てI.N.A.ちゃんは、あらためて思った。(日本のロック界の頂点に立つ大スターが、こんなとこで時間つぶしてるよ。しかも、俺に気を使って・・・。なんてイイ奴。なんて男前な奴。)そんなカッコイイ兄の横で、fat freeひろしは、ホットドッグを食っていた。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その2
LA上陸!プリプロル-ムへ

いままでhideの家の8帖間で作曲&プリプロ作業を続けてきたのだが、去年(Zilchのレコ-ディング時)御近所からの、騒音苦情が絶えなかったので仕事場を引っ越すことになりやした。I.N.A.の家から車で2分、hideん家から2分半くらいの場所なのです。そこは2階建てのオフィスビルで、中にはいろんなオフィス(6~8くらい)が入っている。アメリカ人は夕方5時頃には仕事を終えて帰ってしまうのが普通なので、夜中にデカイ音出しても苦情はこないのだ。ただし、LAでは自宅以外の"人が集まる施設"内は絶対禁煙というチェーンスモーカーのhide I.N.A. brothersにはきつ~い法律があった。プリプロが始まり、最初の数日は2人共ガマンしていたのだが、ある日モラルに欠ける稲田和彦が言い出した。『禁煙つってもこの部屋の中で吸ってるぶんには、誰にも迷惑かけないし、バレないと思わない?』そりゃそうだ~ってなもんで、2人してスパスパ吸い出した。

次の日、プリプロル-ムに到着したhide I.N.A. の目に入ってきたものは「当ビルは禁煙です。(当然英語で・・)」のはり紙。『え~なんでバレてんの?』考えた末、昨日の吸い殻を部屋の外にある共同ゴミ箱に捨てていったからだという結論に達した。今日からビルの外に捨てて帰ろう。そして次の日、またまたドアに大きなはり紙「カリフォルニア州の法律により、公共の場での喫煙・・・云々(もちろん英語)」今度は法律までだしてきやがった。2人共自分達のしている事を棚に上げ、被害妄想モ-ドで『なんで煙草吸ってんの分かんだよ。誰か、この部屋にはいってるんだ!』って事になり盗まれてる物はないか探し始めた。しかし、無くなってる物もなく何故にバレたかわからなかったので、今日のところは禁煙にしといてやるかと仕事に取りかかった。そしてそして次の日、マネージャーにビルのオーナーから電話が入った。『空調のダクトから煙草の煙りが他の部屋にまわって、みんな迷惑してます。禁煙にしてください。』なぁ~んだ、そうだったのか、2人は反省してビルの外で煙草を吸う事にしましたとさ。めでたしめでたし。終わり。

しかぁ~~し!これが恐怖『フッカー事件』(hide's voice参照)のプロローグだったことを、2人はまだ知らない・・・。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その3
バイオハザードな日々

みなさんは、松本秀人がバイオハザード大好き人間なのを御存じでしょうか?。私、I.N.A.は8年くらい松本君とつき合ってきましたが、彼がはまっていたゲームは3本しか知りません。ひとつめは3DO(知る人ぞ知るハ-ド)の『鉄人』。残りがプレステの『バイオハザ-ド1&2』なのです。今回は、そんなバイオなお話です。

1998年新春。PSYENCE製作中hideがはまりにはまった『バイオハザード』の続編が発売された。hide with I.N.A.は各々『バイオ2』を手にLAに渡ったのだ。松本君はメチャこれを楽しみにしていて、早速はまった様子。I.N.A.ちゃんも負けじとゲームスタート。2人共プリプロと『バイオ2』を中心とした生活が始まった。そうなってくると音楽以外の話題は殆ど『バイオ2』。車に乗ってりゃ「あっ!あの建物バイオっぽくない?。」職場(プリプロルーム)に着いて鍵開けりゃ「この音バイオだよ~。」煙草吸いに外でりゃ「この空気感...遠く聞こえるサイレンの音.....バイオだよ~~。」「このゴミ箱にアイテムがある!」なんて言っちゃったりして、2人共ただの小学生状態。アホか俺らは....。

『バイオ2』始めて数日、ゲ-ム慣れしているI.N.A.と松本君の進行状況に差が開き始めてきたある日の深夜、突然hideちゃんから電話がかかってきた。なにやら興奮してる御様子で「I.N.A.ちゃん!I.N.A.ちゃん!どうやったらワニ倒せんの~っ!」(『バイオ2』ではゲ-ム中盤、でけぇワニを倒さないと先に進めないのだ。)絶妙なト-クで攻略法を伝えるI.N.A.。それを聞きながら電話の向こうでゲ-ムを進めるhide。「なになに?はやく!どっち?どっち!?きたきた!!どーすんの!どーすんの!!!だめだぁぁぁ...!!」・・・・シ~ン。「独りでもう一度がんばってみます...。おやすみ...。」曲のプログラミングを任される理由が少し分かった気がしたI.N.A.でした。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その4
hideとI.N.A.の関係 PART1

午後3時、I.N.A.がhideの家に電話をいれる事からその日のプリプロ作業が始まる。
ピポパポペッ・・・・プルルルル・・・・
I.N.A.『もしもし』
hide『ハーイ』
I.N.A.『はーい』
ガチャ・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・
そしてI.N.A.は"fat free"ひろしの運転する車に乗り、hideを迎えに行く。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その5
hideとI.N.A.の関係 PART2

午後3時、I.N.A.がhideの家に電話をいれる事からその日のプリプロ作業が始まる。
ピポパポペッ・・・・プルルルル・・・・
I.N.A.『もしもし』
hide『半ぐらいから』
I.N.A.『はーい』
ガチャ・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・
そしてI.N.A.は30分後"fat free"ひろしの運転する車に乗り、hideを迎えに行く。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その6
ピンクスパイダー&ever free 遂にレコ-ディング開始。後にhideの最高傑作といわれる『ピンクスパイダー』のレコーディングが98年2月26日から、あの『PSYENCE』を生み出したSUNSET SOUND STUDIOで開始された。すでにドラムパートは1月中に日本で録音済みで、ソレにギターやらボーカルやらを重ねて録音してく作業なんだけど、まあhideが『サイボーグロック』と名ずけたぐらいものすごいEDITを楽曲に施した(I.N.A.ちゃんにとっても大傑作)ものだったので、私としてもとっても楽しみでした。実際のレコーディング作業は、もうほとんど流れ作業でして、hideちゃんがギター録ってるとき私はなにがしのEDIT。ボーカル録ってるときはギターのEDIT。ってな具合で進行してました。(細かいアレンジうんぬんはプリプロ段階で完成されてるのだ!)録音途中スタジオ内に無数の虫(ハネアリ?)が入ってきて困ったなんて話しはおいといて、残すところMIX(最終的な音の調整)のみってとこで問題はおこりました。

ピンクスパイダーとever freeは別々のスタジオでMIXが行われたんだけど、その日何故かLA中の道が大通りも裏道も渋滞してんのね。普通なら20分で到着するはずのスタジオまで2時間くらいかかって、上見上げりゃヘリコプタ-飛んでるし。『たぶんなんかあったはず。もしかして暴動?』なんて言いながら、ever freeをMIXしてるスタジオに到着してみりゃ高速道路での大事故のニュ-ス。16トントラックが高速でひっくり返って、そこに何十台もの車が突っ込んでた。『こりゃ、あっちのスタジオ(ピンクスパイダ-のMIXしてるスタジオ)にはいけないねぇ。』とhideちゃん。今日はピンクあきらめてever freeの完成に全力そそぐか。と話し合った矢先、スタジオ機材のトラブル。MIXエンジニアのERICが『今日はもうこれ以上出来ません!(日本語ペラペラ)。』オイオイ、締めきり明日までだぜ!。前向きhideちゃんも半ばキレぎみ。しかぁ~~~し、超前向きI.N.A.ちゃんはこう考えhideちゃんを説得。『物事には意味があるんだよ。ピンクスパイダ-(のMIX)やってるスタジオには行けないけど、ever freeのMIXもう一度みなおせるじゃん!。』結果1日考える余裕をもてて、ピンクもeverも満足いくモノになったのでした。でも『物事には意味がある』ってセリフ、サイエンスツア-の時hideちゃんが言ってたセリフだったのよねぇ。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その7
98年上半期一番楽しかった日々。1日目。

怪人達がLAにやって来た。名作『ピンクスパイダー』と『ever free』のプロモ-ションビデオ撮影の為、3月10日LAのビバリーヒルズプラザホテルに怪人達が集結した。KIYOSHIはお仕事の都合で11日(『ever free』撮影当日)に到着する予定。KAZもオブリのレコ-ディング中なので11日合流予定でした。みんな見た目があんなだから、無事に入国審査やら税関関係だいじょうぶかなぁ?と思っていたところ、案の定CHIROLYNの楽器が税関で引っかかったそうで、何故ならばその楽器のケースにデカデカと『hide with SPREAD BEAVER』の文字が書いてあったそうな。SPREAD BEAVERって言葉はアメリカあたりじゃぁスラングなわけで、意味を訳せばBEAVERっうのは女の人のあそこらへんのことで、ようはビーバーの毛並み=○○○○って事なのね。それを更に広げる(SPREAD)ってんだからもう想像つきますよねぇ。hide流に訳せば『パンツまるみえ』になるらしいけど、そんなこたぁ税関のお役人には通用しません。「コンナモノ入国サセルワケニハイキマセ~ン。」と一喝。いっしょに来たスタッフが税関の人を説得、最終的にはその文字の上にガムテープを貼って隠すという事で入国させてもらえたそうです。この日入国組のJOE.CHIROLYN.DIE.は時差ぼけでダウン。明日からの撮影に備えて宴はおあずけ。ジェリーズで食事してから、各自自由行動(自由睡眠)となりました。僕はhideちゃんに『I.N.A.ちゃんの迷彩パーカー(私服)撮影で使いたいから貸してよ。』といわれ、一生懸命洗濯してました。(なのに、本番では使用されなかった。せっかく毛玉までとったというのに。)

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その8
98年上半期一番楽しかった日々。2日目。

今日は夕方から『ever free』プロモの撮影。ひさびさにhide with Spread Beaverのメンツが顔をあわせた場所はホテルのロビー。アメリカ人が持つ一般的な日本人のイメージからかけ離れた7人の姿を現地の人々は「なんじゃ?コイツラ」的眼差しで通り過ぎていくのだった。ロビーは当然禁煙なのでホテルの外で、みなさん一服タイム。記念写真を撮ったりなんかして待つこと数分、hideの愛車通称『クジラ』の御到着。僕らはこのキャデラックリムジンに乗り込み、撮影現場(エンジニアERICさんの自宅件スタジオ)へと向かうのです。(ちなみにJETS会報VOL2の表紙裏のhideちゃんの写真は、この時撮影したものです)

LAの街を『クジラ』で走っていると、ものすごく目立ちます。いつもは信号で止まれば隣の車から『Nice car!』なんて言葉をかけてくる人も多いのだが、この日は何故か声かけてくる人がいなかった。やっぱ、怪人達が乗ってるリムジンは「なんじゃ?コイツラ」だったのでしょうか?撮影しながら車を走す事30分、現場に着けば既にプロモ撮影隊はセッティング済みで、ちょこっと説明受けて訳わからんまま『ever free』プロモ撮りが始まった。実はhideちゃんと僕以外のhide with SBメンバーは『ever free』って曲、今日まで聴いた事がなくて撮影中みんなの頭の上には『?マーク』が点滅してたのだった。しかぁ~し百戦錬磨の怪人達。OKテイクが撮れる頃には、自分達のプレイをしておりました。さすがプロフェッショナル団体。(『ever free』のプロモでD.I.E.ちゃんがキーボード弾く前に、hideちゃんが腕クルクルして合図してるやつ。あれって撮影前にD.I.E.ちゃんが『hideちゃん、弾く場所わかんないからおしえてねぇ~~。』っていってたのさ。ちゃんと調教できてましたね松本さん。)KIYOSHIはLAに着いて→ホテル(with時差ボケ)→そのまんま『クジラ』→スタジオ→本番撮影だったので、最後まで『?』だったみたい。後に『ever freeの撮影するなんて、聞いてねえよ~。』と怒っていたのだ。

さてさて、無事撮影も終了しホテルに帰る前にメシタイムとなりました。せっかくLAに来てるのに何故か食事は『うどん屋さん』。時差ボケ+疲労には消化の良いものを、という松本秀人のイキな計らいでした。この『うどん屋さん』、LAで一番といっていいほどの美味しいお店なのだ。みなさんLAにいった時には、いってみても良いかも。(ビバリーセンターから徒歩1分MISHIMAというお店です。)次の日から本格的な撮影なので、今日もまた宴はオ.ア.ズ.ケ。朝食用にhide with SBメンバー達はおにぎりをテイクアウトしておりました。もちろんKIYOSHIも。僕はこれからモヒカンにするので、そろそろ帰りまぁ~~す。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その9
98年上半期一番楽しかった日々。3日目。前編。

昨夜ドレッドモヒカンにした頭と眠い目を擦りながら、我が家から車で2分半のビバリーヒルズプラザホテルに到着したI.N.A.ちゃん。怪人達はこのホテルでメイクを済ませてから、撮影現場のアレキサンドリアホテルに向かうのです。

撮影現場は映画『セブン』でも使用された所で、現在はホテルとしては営業しておらず、月々300~500ドル程度で借りられるアパートとして存在してるのです。かなりのボロホテルで、住んでる奴らもカナリあぶない連中で『建物の外には絶対に出ないで下さい。注射器の針が窓から降ってきますよ。』なんて現地スタッフに脅かされました。恐えぇ~~。『クジラ』で行くと目立って狙われると恐いので、今日は普通のバンで移動です。働き者のhideちゃんは他のメンバーよりも一足、いや二足....三足早く現場に入ってるようです。(さすが、その昔東京ド-ムに朝6時入りした男。いつもお疲れさまです。)撮影現場ホテルの地下駐車場に着くと、でっけ~セキュリティーのおっさんが立ってたりして、現地スタッフはトランシーバー片手に『こちらです。急いで移動お願いします。荷物は車に置かず、必ず持っていって下さい。』なんて焦らすもんだから、まじでビビリました。ほんとあぶなそ~~~(涙)。楽屋がわりの部屋がある階でエレベータを降りると、そこはまさにバイオハザードな世界。廊下の両側に並ぶ客室のドアは、何故か真っ赤に塗られ床には無数のシミ。なんかカッコイイ。hideちゃんのイメージどおりだね。

楽屋部屋には電灯すら無く、窓は開きっぱなし。スタッフの人達が撮影用の照明をセッティングしてくれました。この日の撮影は全員集合での演奏シーンは無く、各個人ショットがメインです。『ピンクスパイダー』のようないろいろなシーンが出てくるプロモ撮りは、機材.照明のセッティング等にものすごく時間がかかるので、僕達は一日のほとんどを待ち時間として過ごす事になります。楽屋部屋で、ある人は音楽聴いたり、ある人は寝てたり、おしゃべりしてたりして暇をつぶしてます。突然、御指名がはいり慌てて撮影現場に向かっていくメンバーを見てると、『なんかこの部屋って風俗嬢の待機部屋?』なんて想像して一人でププッ!っと吹き出してしまうI.N.A.でした。撮影も順調に進む中、日も暮れてきて裸電球の薄暗い部屋に、開きっぱなしの窓から冷たい風が吹いてくる。LAの夜はとても寒いのだ。しかも、外は雨。吹き込む雨にhide with SBメンバー達は身体を震わせておりました。しかたなく、開いた窓にみんなでゴミ袋を張り、風をしのぐ事に。こんな事でもhide with SBメンバーは協力しあうのです。(素晴らしき友情。なんのこっちゃ。)さて、遂にI.N.A.ちゃんに御指名が入りました。営業用のポーチを抱え、3番個室へ入ると、そこには一見サラリーマン風のたくましい男性が。男はいきなり私に抱きつき.... ゴメンナサイ。チガウハナシニナッテマシタ。

え~と、KIYOSHI&D.I.E.と3人での演奏シーンの話ですね。撮影はホテルの地下で、これがまた怪しい。この場所は最近、映画の撮影に使われたらしく、壁一面に謎の漢字(中国語かな?)が書かれており金網で囲われております。有刺鉄線デスマッチでもするんかい!という雰囲気です。そしてI.N.A.ちゃんの目に飛び込んで来たのは『DJセット』。どうやら『ピンクスパイダー』ではDJをやらされるらしいのです。(エ~~!。DJセットなんて触った事ないのに...っていうか、こんなに近くで見るのも初めてだよ~~~!。マジかよ~~。)なんていう心の叫びは、当然hide様には届かないのでありました。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その10
98年上半期一番楽しかった日々。3日目。中編。

hideちゃんは昔から無理難題を私にオーダーしてきたさ。古くは『X 破滅へ向かって』におけるHIDEの部屋での手ドラム(コンピュータを使わずHIDEの演奏にあわせ舞台裏でキーボードでドラムを演奏するという無謀な行動。)DAHLIAツアーLongingでの特効(爆破スウィッチ担当。)hide 1stツアーでは彼のパントマイムに合わせたリアルタイムSE(バキュ~~~ン!。)サイエンスツアー花道一番前からの目配せ合図(何メートル離れとるんじゃ~。)MIX LEMONed JELLY hide登場を待ち続けるファンを前にしてブーイングに耐えながらの、数十分に及ぶステージ上覆面コンピュータエディット(その後すぐ演奏する曲のエディットをステージ上でやらすなぁ~~~!。)数え出したらキリが無い。そんな無理難題をなんとかクリアしてしまう私も私ですが、なんと今回はDJですかい!しかもイキナリ。しかし、負けるモンかとI.N.A.ちゃんは黙ってシュミレーションを始めるのでした(稲田エライ。)そして撮影。円盤上をスベらす指先のテクニックはコックリさん世代の賜物か、みごと大成功!!。全国数十万人、いや数百万人のTVの前の若者達よ!。正真正銘のDJ達よ!。ゴメンナサイ。今日初めて触りました。...とはいうものの、スタッフみんな騙されてて『いやぁ~カッコイイですねぇ。何年ぶりぐらいっすか?ターンテーブル回すの?』とか言ってんの。フフフッ。

そんなこんなで本日のプロモ撮り無事終了。楽屋部屋に戻ると、hideちゃん、CHIROLYN、JOEがいない!?僕達(本間&DIE王、I.N.A.)は残業組だったのね。これからホテルに戻ってメイクを落として『焼肉』だ~~。夕食はラシエネガ通り日航ホテルの前『WOO LAE OAK』という名のコリアンバーベキューの店です。コリアンタウンにある本店『又来屋』に比べるとワリとアメリカンな雰囲気にまとまってます。(ここのユッケはシャーベット風でめっちゃウマイぞ~。)残業組が店に着くと、hide様達先発隊は、すでに食い終わってワインかなんか飲んでおりました。僕はさっそく先発隊の残り物の肉を食べ、酒をあおりました。(わ~い!。今日は宴だ~。)・・・がしかし、時差ボケなおらぬhide&I.N.A.以外の怪人さん達は、いまいちモリアガリきれない感じ。30過ぎて怪人やってると疲れる事もあるのさ。デザートのカスタードプリンみたいなのが出てくると、KIYOSHIが急に元気になり、『うめぇ、うめぇ』とあっという間にたいらげ、さらに人の分まで手をだした。それも食べ終わると、追加オーダー。怪人達は口を揃えて『オメェはガキか!』サイエンスツアーの時、よく彼がマネージャーに『クリームパン買って来て!』って言ってたのを思い出しました。

食事を終え、ほろ酔い気分でホテルロビーに戻ったhideとゆかいな仲間たち(スタッフ含む)。スタッフが、怪人達に明日の集合時間を伝えているその横で、松本秀人の瞳がキラリと光った。『次ぎいくっしょ!。次ぎ・・。』

<疲れ切った怪人さん達の顔が、いっせいに青くなるのを僕は見のがさなかった。>

・・・・更につづく。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その11
98年上半期一番楽しかった日々。3日目。後編。

『次ぎいくっしょ!。次ぎ・・。』周りの人を楽しませる為にhideちゃんが使うエネルギーは、ものすごいのです。たぶん彼が一番疲れてるハズなのに、「LAはつまらなかった。」なんていわせねぇぞ!ってな気迫さえ感じるのでした。

hide『みんなさぁ、せっかくLAまで来てんだからLAっぽい所行かなきゃダメだよ。よし!ストリップ行こう!!ストリップ!!!』

SB全員『・・・(無言)・・・(何故にストリップ?)・・・(LAっぽいって?)・・・』

hide『いこう!いこう!ハイ車乗って!』

JOE『いや・・あのさぁ・・・呑みに行くのはイイんだけど・・・ストリップはねぇ・・・。』

hide『だいじょうぶ、だいじょうぶ。楽しまなきゃダメだよ。いくよ!。』

怪人達(スタッフ含む)は、なかば強制的に車に乗せられました。しかも7人乗りの車に10人以上。(俺らは密入国者かって!。)

<さて、ここでhide本人の名誉を守る為ストリップが何故LAっぽい所なのか、どうしてそんなにストリップに行きたがるのかを説明させていただきます。話はさらに2年以上さかのぼります。アルバム『PSYENCE』制作より、もっと前。Zilchの『ELECTRIC CUCUMBER』を録り始めた96年初頭、僕らhide&I.N.A.はレコーディングに対する不良外国人達の考え方に、かなりのカルチャーショックを受けておりました。当時 A&M studioという所でレコーディングしてたのですが、そのまん前にストリップ劇場がありました。劇場と言っても日本のストリップとは随分イメージも違い(行った事あります?。)、裸のねえちゃんが踊ってて、ビリヤードがあって、ピンボールがあってと、いかにもアメリカンな飲み屋という感じです。で、エンジニアのBILLはレコーディング中でも時間ができると、『ちょっとオフィスに行ってくる』なんて言ってそこに呑みに行ってしまい、迎えにいったRAYも帰ってこないなんて事が、日課のようになってました。RAVENの誕生日にはストリップダンサーがスタジオに出張してきてパーティーしたりして、真面目に進行していく僕らhide&I.N.A.のレコーディングとは全く別物でした。BILL曰く『This is American style.』だそうで、これがhideちゃんに刷り込まれて『LAっぽい所=ストリップ』になったのでは?と考えてます。>

ストリップ劇場に向かって走り出した車内でhide様開口一番『あのさぁ、俺は明日早いから着いたら帰るから。みんな楽しんできてね。』・・・全員無言。(なんじゃ?そりゃ!言い出しっぺが何故帰る?)その時、今日のストリップ話が何かのネタにされると思ったのは僕だけではない筈・・・。数分後現場に到着。しかし、改装中かなにかで店が閉まってます。エネルギッシュhideは慌てず再び『次ぎいくっしょ!。次ぎ・・。』。これこそまさに風俗ジプシー。次なる目的地(ストリップ)も閉まっていたので、計画変更してクラブ(おねぇちゃんクラブじゃないよ。)に行く事に。到着して車を降りた怪人達。でもなんか、疲れてるみなさん行きたくなさそうです。誰かが言いました。『クラブはちょっとねぇ・・。明日も早いし。(たぶんCHIROLYN。よく言った、エライ!)』『あっ!、タワーレコードだ!あそこ行こう!。』・・・というわけで、本日のhideナイトは地味~な結末をむかえました。ゲイストリート見学後ホテルに怪人達を送り届け、hide&I.N.A.が帰路に着こうという時、松本秀人はいいました。『みんなさぁ、ホテルの近くにも飲み屋あるから行ってきなよ。じゃぁまた明日!。』ネタ作りじゃなかったんだね、hideちゃん。やっぱイイ奴だ。男前だ。

翌日、昨晩の怪人達の行動に耳を傾け『なんか、面白いことあった?。』とニンマリするhide。やっぱネタ作りだったんか~~~っ!!

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その12
98年上半期一番楽しかった日々。4日目。何処へ行くJOEの巻。

朝、早いですぅ~。いつも午後2~3時くらいから仕事してるので、午前中から活動するのはツライのです。でも今日でプロモ録りも最終日。ガンバロ~~~!ってな感じで『おやつ』を持参して、またまた『アレキサンドリアホテル』ヘやってきました。今日のメニューは、怪人カードやオフィシャル物の写真撮影&バンド全体の演奏シーン等です。撮影の準備が遅れているので、hide with 怪人達は楽屋で暇をつぶす事に。前日に撮ったポラロイド写真を床に並べ、みんなで見ていると(ever freeプロモのワンシーン)何故かJOEの写真で笑いが起こる。この一連のプロモ撮影中、JOEはワイルドなイメージを作る為に無精髭を剃らせてもらえなかったのです。そして、あの髪型、あの衣装。(ピンクスパイダーのプロモ参照)どっから、どうみても『アメリカンホームレス』(JOEさん許して・・・。)そのうち、みんなでJOEの写真にセリフを付け始め、もう大爆笑!。『ハラへったなぁ~。』『うまそうだなぁ~。』・・・。更に、数枚の写真をならべ壮大なるJOEストーリーが作りあげられる始末。(内容についてはGiGSでのDIEちゃんコラムの記念すべき第一回 or 限界破裂本を見て下さい。)ん~~JOEさんのイメージが崩れていく・・・。

さて、怪人カードの個人ショット、どんなのにする?って話をしていると、CHIROLYNがいきなり服を脱ぎ出し、『俺、全裸でバラくわえるから・・・。』と、そのまま楽屋トイレに駆け込み、便器に座り込んだのでした。そして撮影。仕事はやいなぁ~。(でも、さすがにJa,Zooツアーのオープニングにその写真が使われるとは思ってなかっただろうなぁ。)あんな飛び道具の後に何やりゃイイんだ?と考えながらネタ捜しに廊下を歩いていると、とってもアメリカンな台車発見!。この時、僕の頭の中に「台車ロータスでF1参戦JOE」の図が閃いた。すぐに楽屋にもどりダメモトで、『JOE君、メットかぶって廊下の台車に乗ってみない?俺が押すからさぁ。』と言ってみると、以外にもJOEは快く引き受けてくれたのでした。(イイのか?JO~~~~E???。)この日を境にJOEの中の何かが確実に変わり始めてくいくのでした。『ハンドルが無いとサマになんねぇなぁ。』とヤル気マンマンのJOE。誰かが紙のお皿を持ってくると、彼はそれにマジックで自分の愛車の名(ロータス)を書き込み、『全国のJOEファンは泣くぞ~』の声を尻目に、遂にあの名シーン(迷シーン?)の撮影が始まった。JOEさ~~ん....あなたは何処へ行ってしまうんだぁ~~~・・・。

後日談(ファンの方のお話)
ever freeのプロモビデオの話をDIEちゃんがTVでしていた。お勧めのシーンはロータスJOEさんのシーンだと興奮気味に語ろうとしていた。しかぁ~し!!こともあろうにDIEちゃんは「誰かスタッフの人がJOEさんを・・・。」「スタッフの人が・・・。」と何度も何度もっ。『なぁ~ぬぅぅぅぅぅっ』と暴れそうになった私を友達は『ほら、DIEちゃんだから、ね、DIEちゃんやんか、しゃぁ~ない』となだめた。このTVのことを私は一生わすれないでしょう。

『DIEちゃん、JOEを押してたのは僕です。』I.N.A.より

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その13
98年上半期一番楽しかった日々。4日目。すばらしき兄弟愛の巻。

屋上でhide with Spread Beaver全員集合写真を撮り終え、hideちゃんは『ガラスの部屋破壊シーン』撮影の為に1Fホールへ降りていきました。ここから先のお話は実際にみる事ができなかったので、hideちゃんのお言葉を元に再現されます。

『ガラスの部屋破壊シーン』とは、まさにそのまんまでガラスの部屋を破壊するシーンです。hideが2帖ほどのガラスケースに入った状態でガラスを粉々にするという、大変危険なシーンなのです。ガラスを割るためには、その隅を強力エアガン(車のフロントガラスもぶち抜く程のハイパワー)で打ち抜かなければならない。撮影スタッフが準備をしていると、『タップリでファットなボディーの松本裕士マネージャー』がやってきた。ガラスを打ち抜いたエアガンの弾が、hideを直撃するのを心配して、「そんな危険な事やめてください!hide(兄)が怪我でもしたらどうするんすか!!」すばらしき兄弟愛その1だ。裕士の気持ちがスタッフに通じて、ガラス破壊はスタッフの空手パンチ(革手袋付)で行われる事になった。撮影準備も整いイザ本番!!このシーンは撮り直しができないのでスタッフ全員に緊張がはしる。アメリカ人のスタッフが叫んだ。「ガラスが割れた後、空気中に破片が飛び散るから、絶対に呼吸しないように!!ガラスの破片が肺に入ったら大変な事になるぞ(英語)!!!!」「スタート!!!」カメラが回る直前hideの目に飛び込んだのは、あたりをキョロキョロ している裕士(弟)だった。(ああ・・・裕士(弟)。あいつ今の注意、絶対理解してねぇ。息すんなよ!・・・。)まさに本番0.001秒前のすばらしき兄弟愛その2だ。『ガシャ~~ン』という音とともにガラスが崩れ落ちる。「カァ~~ット!!!」カメラが止まる直前hideの目に飛び込んだのは、またまた裕士(弟)だった。だいじょうぶですかぁ~と言わんばかりの勢いでhide(兄)に駆け寄る裕士(弟)。(ひ・・裕士(弟)!!くるなぁ~~!!ガラスの破片がぁ~・・・。)自分も息できないhide(兄)は当然叫ぶ事もできないのだ。松本兄弟大ピンチ!!!。が、しかぁ~~し、さすが兄弟。兄の言いたい事は弟には伝わるのですねぇ。裕士(弟)は言葉を交わす前に立ち止まり、事なきを得たってわけです。なんともすばらしき兄弟愛ではないですか。あんた達見てると、ほんとに兄弟ってイイなぁと思いますよ。

『えっ!?。身ぶり手ぶりで来るな!!ってやれば、誰にでも伝わるって?いや、すばらしき兄弟愛って事にしとこう。』

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その14
98年上半期一番楽しかった日々。4日目。

残すところ、この一連の撮影も『ピンクスパイダー』サビ部分、バンド全員の演奏シーンのみとなりました。日も落ちて、あたりはすっかり闇です。小雨が降る中、ホテルの裏路地に楽器をセッティングして、後は監督の「GO」を待つだけだけです。僕の横でタバコに火をつけるhideちゃんから笑みは消え、『hide戦闘形態』の顔になっています。撮影時間が延びた為、既に近所の住民から苦情がでており、撮影は2回だけしか出来ません。メンバー達の気合いも十分。スタンバイ直前、hideちゃんが僕に囁いた。「雨は良いよ。演出効果云々よりも、演ってる俺達が燃えてくるから・・・。」撮影開始、後は説明不要。燃えたhideの『ピンクスパイダー』を御覧下さい。

<おまけ>
全て終了後、滞在ホテルから車で5分のラシエネガ通り『楽』という韓国風日本料理の店で打ち上げパーティーを行いました。さらにその後、ホテルに戻ってhide担当ディレクターG氏(レコーディングスタッフ)の部屋で、呑むことに。外国ギライのKIYOSHIも翌日帰国できるってなもんで大ハシャギ。I.N.A.とのデビルトークバトルで大いに盛り上がったのでした。(D.I.E.ちゃんは老人なので、疲れて先に寝ちゃったけど。)そして午前4時すぎ、宴もお開きという時hideちゃんが言いました。「明日みんなが帰る時、クジラで空港まで送っていくから。朝10時だよね。じゃぁね~。」

<おまけのおまけ>
「Zzzzzz.....」「Zzzzz.....zzz....」
翌朝、当然hideもI.N.A.も寝過ごしました。ちゃんちゃん♪
さらば、怪人達よ。日本で会おう、おつかれさん。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その15
嵐?が過ぎ去った翌日、僕たち2人は再びプリプロルームに戻りhide 3rd Albumの製作に入った。自分達の危機感をあおる為、hideちゃんがホワイトボードに完成済みの曲を書いていく。ROCKET DIVE・・・DOUBT・・・PINK・・・ev・・・。『まだ4曲じゃん!出来てんの~~!!』・・・というわけで、とりあえずデモテープ上で完成型のみえている『FISH(当時はSCRATCH FEVERは付いてなかったのだ。)』を怪人達といっしょに帰国しなかった"居残りLAバケーション野郎"CHIROLYNが居るうちに創って、BASSを弾いてもらおうって事になった。(っていうかCHIROLYNには相談せずに勝手に決めたのだが。)それから数日間、いつものように創っては壊し、創っては壊し、創っては壊し、創っては壊し、・・・・・・。とアレンジを2転~10転させていったのだが、どうにもパズルの最後のピースがピタリとはまる感覚には程遠い。(hideは曲を創る時、いつもこの感覚を大事にしていた。)そして彼は言った。『もうダメッ!。おいとこう。』「おいとこう」ってのはhide+I.N.A.語でありまして、曲作りがうまくいかない時、しばらくその曲を聞かないでおいて、後に聞いた時、良ければ採用。悪ければボツ。という画期的?合理的?民主主義的?なシステムなのだ。『FISH』よ。君の運命は・・・・・。

***まめ知識***
hideがソロデビューしてから、2人で作業している時に出来た『hide+I.N.A.語』をいくつか紹介しまっせ。

『メガ』
意:)デモ(テープ)にもならない程のデモ / 仮の100万倍。スタッフに曲を聞かせる時に「これ、まだ(ウルトラ)メガだから。」

『ピコ』
意:)ほんの少しコンピュータ上で音のタイミングを動かす時に使う。1mm sec(1/1000秒)タイミングをずらしたい場合「1ピコ前ね」とか「ドラム(のボリューム)2ピコ上げて」ってのもあったね。

『キクオ』または『キキョウ』
意:)「今、録ったの聞いてみよう。」の略。

『チリドック(の香り)』
意:)プリプロルームの隣の部屋にデリバリーサービス(弁当配達会社)の若者達が引っ越してきてから、共同トイレが異常に臭く(体臭?)汚く(体液?)なった。いつしか、僕達は共同トイレを『チリドック』と呼ぶようになっていた。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その16
ロサンジェルス・シティー夜の集会の巻

"居残りLAバケーション野郎&元サイバー市民"のCHIROLYNが日本から面白いゲームソフトを持って来た。サイバー・シティーのサイバー市長、布袋寅泰氏が作ったプレステソフト『STOREN SONG』。いわゆる「音ゲー」というやつで、曲に合わせてコントローラーのボタンを押してギターを演奏し、クリアすれば次の面に進めるってやつ。各ステージの合間に実写ドラマが入っていて、もちろんCHIROLYNも出演しているんだけど、マジで演じているところが妙に笑えたりするのです。(・・・が、彼の演技は光っていた。さすが、キョンキョンの映画『怪盗ルビー』に出ただけのことはあるな。エキストラだったらしいけど。)僕のLAライフにTVゲーム(←死語)は欠かせないものでして、休みを知らない働くおじさんにとって唯一の娯楽。そりゃもう仕事が3時に終わっても4時に終わっても、同じアパートの4階に住む松本"fat free"裕士の部屋に毎晩のように遊びにいってプレステ、プレステ、またプレステ、俺はSONYのまわし者か!!・・ってぐらい。しかも、プロモ組が帰国してから居残りLAバケーション野郎が裕士マネージャーの部屋に住みついてるので睡眠時間は減るいっぽうなのだ。でも、ほんとこの『STOREN SONG』。めっちゃハマりました。お仕事用Mac(音楽ソフト)の画面にナントナク似ていて、マニピュレーター心をくすぐるのですよ。そんな日々をおくっていたある日、松本秀人が裕士の部屋に遊びにやってきました。当然、日本一のヨッパライ状態で。実写ドラマ部のCHIROLYN演技に興奮し、I.N.A.ちゃんの指さばきに感動し、『Spread Beaverでゲームつくりたいなぁ』なんて言ってるし・・・。でも僕は、どうせ作るならhide with Spread Beaverメンバーのキャラで格闘ゲームがいいなぁと思ったね。JOE vs KIYOSHIとか勝手に想像してニンマリしてましたさ。

さて、I.N.A.ちゃんが『STOREN SONG』全面クリアした後、hideちゃんが、大好きソフト『バイオ2』をやろうと言い出しました。・・・が、何故かホラー嫌いの松本"fat free"裕士が無理矢理やらされるハメに。『え~~~(イヤだぁ~)』という裕士の声に『いいから、早くやれよ!早く!!』とセカすhideちゃん。渋々ゲームをスタートさせるとhideちゃんは『ひろし、そこ右。まっすぐ、まっすぐ!!。バカッもどれ。左、左、撃て!!撃てっ!!』ってな具合に延~~~~々、それも数十分にわたってゲームの指示を出し続けた。耐えに耐えたが、さすがに『もう、やだぁ~~!』と叫び出す裕士。それでもゲームを続けさせる兄の秀人はとっても楽しそう(笑顔)。弟の裕士、とってもつまんなそう(涙顔)。これも兄弟愛?????

いつまで続くのか、ロサンジェルス・シティー夜の集会・・・。松本家の兄弟仁義?は放っておいて、サッサと退散するI.N.A.ちゃんでした。(おやすみなさ~い。)

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その17
さて、居残りLAバケーション野郎が市内観光しまくりやがっている今日この頃、我々hide/I.N.A.ブラザースは曲作りに精を出しまくりやがっております。『FISH』くんが仮ボツとなった今、次に作るべき曲はzilchのアルバム『3・2・1』に入っている『INSIDE THE PERVERT MOUND』だぁ~~!!ってな事になったのです。基本的にzilchでレコーディングしてた時は、hide/I.N.A.ブラザースがアレンジしたものにRAY(おっさんの方)が歌詞を書いて、RAVEN(でっかい方)がBASSを弾いて、DRUM入れて、散々もて遊ばれて、ぶっ壊されて、傷モノにされて戻って来た我が子(楽曲)を稲田工房(日本一のスペシャルプログラミング&エディット)でキレイキレイ&イイコイイコしてあげて完成に至る。・・・という道のりで作っていたので、良くも悪くもhide/I.N.A.ブラザースの曲作り最初のイメージから遠ざかってしまう事が多々あったのだ。特に、この曲は「テクノのギター的解釈」というコンセプトがあったので、もう一度作り直すことにしたのでござる。・・・で、これからの曲作り作業は「新聞をワープロで打ち直す」ような作業、もしくは『INSIDE THE PERVERT MOUND』を『LEATHER FACE』に作り直すような(←そのまんまか・・・)作業なので、ものすご~~~~~~~く時間がかかります。とりあえず、超カンペキ主義者I.N.A.ちゃんのプログラミングタイム。かなり時間かかります。仕事が遅いのではなく、細かいからです。その間、hideちゃんは歌詞書いたり、インターネットしたり、歌詞書いたり、インターネットしたり、まぁそのどっちかです。たまに腹筋もしてます。そのうちI.N.A.ちゃんが『hideちゃん、今日帰ってイイヨ。後やっとくからさ。』といえば、『じゃあ、間奏のとこをもうちょっとテクノっぽくしといて。キックの音色を変えて、スネアを・・・・。いいや、任せる。じゃぁね。終わったら電話して・・・。』なんて感じで進んでいきます。

そんな作業を2~3日続けていると、市内観光帰りのCHIROLYNがプリプロルームにやってきました。『お疲れさん。君たちねぇ、働きすぎだよ。ちょっと休んだほうがイイんじゃない?。明日休みにして遊びにいこうよ。』(ん~~~でもプロモ撮りで制作日程がずれ込んでて、締めきりがなぁ・・・やばいんだけどなぁ)ってな漫画のフキダシだしながら『よし、そうしよう!。ユニバーサルスタジオ行こう!!』ってhideちゃん。こうなりゃヤケだぁ。デキねぇモンはデキねぇ。今から寿司でも食いにいくかぁ。いこ~~~。いくぞ~~。いってこ~~~イ。お前もだぁ~~~。

追加:この日は松本"fat free"裕士の誕生日でした。おめでとう。お兄ちゃんからのプレゼントはGショック(レア物)でした。今回も兄弟愛ということで・・・・。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その18
3がつ21にち はれ

きょう、ひでくんとちろりんくんとおともだちといっしょに、「ゆにばーさるすたじお」というゆうえんちにいってきました。とてもたのしかったです。あそびにきてるみんながちろりんくんのことをみていたので、ぼくはすこしはずかしかったです。かえりにごはんをたべにいって、おさけをのんでいたらダンダンちょ~しこいてきて、俺様ってばマロンBになっちまったぜぃ。今日の晩飯はWEST LAの日本人街にある「風来坊」って店だ。名古屋の人なら知ってんだろ~よ。あの有名な手羽先屋のLA支店だぜぃぃい。PSYENCEツアーの打ち上げでもお世話になりやしたねぇ。散々、食って呑んで帰りにワイン買って松本君ちに行ったさぁ。プレステやって、ビデオ観て、気持ち悪くなった・・・・~~帰ろ~~。



(怪人カード No.18より)

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その19
遂に居残りLAバケーション野郎が観光返上してお仕事をする日がやってきた。『Leather Face』のBASSレコーディングだ。今回のレコーディング作業は通常とは異なり、スタジオへは行かずプリプロルームにてI.N.A.ちゃんのコンピュータにCHIROLYNのBASSプレイをレコーディングする方法をとった。プリプロルームにはhide with I.N.A.+CHIROLYNの3人だけなのでリラックス&エキサイティング&ラブラブな1日になりそうな予感・・・。

プリプロルームでレコーディングの準備をしているhide with I.N.A.の前に現われたCHIROLYNは、なっ・・なんと手ぶらだった。(オイオイ、BASS持ってこないでどうすんだぁ!!)実はプロモ組が帰国するとき、スタッフが気をきかせてCHIROLYNのBASSを持って帰ってしまっていたのだ。なので急きょ、hideのBASSを使うことになった。しかし、「弘法、筆を選ばず」とは良くいったもので、ぜんぜんNO-問題。『こっちのBASSの方が、俺の持ってるBASSよりも音が曲にあってるよ』なんて言い訳?しつつブイブイッとサウンドチェックを始めだすCHIROLYN。ただのチンピラではなかったようだねぇ。準備が整い、hideちゃんからこんな感じのBASSを弾いて欲しいという指示を受け、レコーディング開始・・・うまい!!PSYENCEツアーの時より上手くなってる!!グルーヴ感がたまらん!!が・・・それにしても松本秀人くん、あくまでクールにレコーディング作業を進めるI.N.A.ちゃんとは正反対に、うるさいったらありゃしない。興奮しまくりで、ライブを観に来てるお客さん状態。CHIROLYNが弾くBASSに合わせて、弾くマネダンス?をしてるのだ。自分が弾いてるつもりになってるよ~~~(あきれ顔)。そんな自分の世界にイッちゃってる人はほっといて、レコーディングを進めていくと、興奮絶頂のhideちゃんが演奏中のCHIROLYNに寄り添うように弾くマネダンスをしてきたのだ。その瞬間『お前ぇ、じゃまだよ!!!!(大爆笑)』とCHIROLYN。アホの達人CHIROLYNでも、このアホさ加減には耐えられなかったようだ。(一同大爆笑&レコーディング中断&ラブラブ)さて、松本くんを「まぁまぁ落ち着いて」とイスに座らせた後、あんな事?、そんな事?、こ~んな事?までしまくって無事レコーディングも終了。

明日はCHIROLYNが帰国してしまうので、チャイナ・タウンにある『ABC海運海鮮酒家』という中華料理屋でお疲れパーティー兼飲み会をすることになった。店に着き、オーダーを済ませ運ばれてきた料理の多さにビックリ!。さすがチャイナ・タウンのチャイニーズ料理だけあって、ものすごいボリュームだ。テーブルの上は瞬く間にファミレスのメニューのようになってしまった。うまいのはイイんだけど多すぎる。当然、余ってしまうのだが、これまた当然のようにhideちゃんは『裕士、食え。』『え~もう食えないっスよ~。』『・・・食え。いいから、食え。』モグモグ・・・ヤムヤム・・・モグ・・・モグ・・(苦し~~~い)モグモグ・・・・。裕士の食べっぷりを見ながら満足そうに笑うhideちゃん。もはや、これを兄弟愛と言ってよいのだろうか???。最近、兄弟愛といじめの違いが分からなくなってきたのはI.N.A.だけではない筈。モニターの前に座っているあなた!そう思いません・・・?

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その20
『Leather Face』のプリプロダクション作業(簡単に説明すると→デモテープ作り。難しく説明すると→めんどくさいので省略。)も終了し、次なる曲の製作に取りかかった hide with I.N.A.。デジロックを超えた、機械と人間が融合した21世紀のロック「サイボーグロック(hide造語)」の代表とも言えるピンクスパイダーの更に上をいくサウンドを創ろう!という意気込みで、とりあえずタイトルを決めてみた。その名も『WASTED』。hideの指示により、I.N.A.は様々なサウンド素材を数日間にわたってコンピュータ上に展開していく。

作曲1日目
hide『イイネェ。』
I.N.A.『・・・でしょ。』

作曲2日目
hide『うん、イイネェ。』
I.N.A.『・・・でしょ。』

作曲3日目
hide『うん、うん、イイネェ。イイネェ。』
I.N.A.『・・・でしょ。』

作曲4日目
hide『・・・ボツ。』
I.N.A.『・・・でしょ。』

というわけで、『WASTED』はボツになりました。ちなみに意味を調べてみれば『浪費、無駄』となっておりました。お後がよろしいようで・・・。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その21
『WASTED』がボツになった後もプリプロ作業は続き、『BREEDING』のデモが完成した翌日の4/1、僕達hide with I.N.A.は『ピンクスパイダー』『ever free』のレコーディングでも使用したSUNSET SOUND STUDIOに職場を移した。そしてこの日、『オールナイトニッポンR&ロケットパンチ』収録部隊がスタジオにやってきたのだ。レコーディングスケジュールの都合もあるので、僕とエンジニアのERICさんがスタジオでレコーディングを進めている間に、ガラス1枚(本当は4枚)挟んだ隣のスタジオでhideちゃんがオールナイトニッポンRの収録を行うという方法をとった。なんでも、2日間で4週間分の収録をするらしく、ガラスの向こうはセッティングやらなんやらで慌ただしい雰囲気。hideちゃんは自宅から持ってきた大量なCD達の中から1週目に流す曲を選んでいる御様子。。。で、稲田くんは、なんとなく落ち着きのない緊張ギミのhideちゃんを完ペキ無視しつつ『LEATHER FACE』のレコーディングをCOOLに行うのでした。

ラジオ収録が始まってからは、休憩のたびに「こちら側」にやって来ては『やっべ~、だんだん何しゃべってっか、わかんなくなくなってきた・・・。』と一言残して「あちら側」に戻っていくhideちゃん。そんな行動を何回か繰り返すうちに、気がつけば晩飯タイム。本日はスタジオの中庭でバーベキューパーティーをいたしました。食後もhideちゃんは打ち合わせかなんかしつつ、I.N.A.ちゃん&ERICの作業もチェックして。。。この人って本当、働き者だなぁ(、、、食後、休憩とらずにすぐレコーディング作業に取りかかる僕も負けずに働き者ですぜ。稲田もエライ。)さて、その後は『ロケットパンチ』用にレコーディング風景の画を撮るということでhide with カメラ部隊がスタジオに乱入してきやがりました。カメラが回りはじめるとイキナリERICさんに絡みまくるhideちゃん。突然の出来事にERICさん、慌てまくり。(げっ!ERICの次ぎは俺に来るつもりだ!!やべぇ!!こうゆうシチュエーション、めちゃ苦手!!!。)予定外の展開に弱い裏方モードのI.N.A.ちゃんは、すかさずカメラの後に回りTIMばりのアクションで『オ・レ・ニ・フ・ル・ナ・!』

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その22
『オールナイトニッポンR&ロケットパンチ』収録2日目。今日はJOEがLAにやってくる日なのだ。今回のリズムレコーディングでは『BREEDING』と『FISH』を叩いてもらう予定なのです。JOEのレコーディングは明日からだが、hide氏がラジオの収録をしているので見学を兼ねてスタジオに来てくれました。3月のプロモ撮影時に会っているので「ひさびさ感」もまったくもってないですねぇ。・・・で、相変わらずJOEは「俺、何やんの?聞いてないよ。」の一言。僕は(聞いてても、聞いてなくてもスンバラシイ演奏するじゃないですか、アンタは。)という無言のツッコミをしつつも曲の説明をするのでした。本日もhideちゃんはガラスの向こう側でラジオ収録なので、スタジオ内の僕は2~3日前に聞いたhideちゃんからの業務命令=「もしかしたらSOLD SOME ATTITUDE(zilchの曲ね。)の日本語バージョンをやるかもしれないからコンピュータにデータを立ち上げといてね」という言葉を思い出し、夕食までには作ってやるぜとはりきって作業に取りかかるのでした。しかし、この作業は『LEATHER FACE』と同様に、かなり面倒くさい。hideちゃんがスタジオに戻ってきて「え!もう出来たの?」って言う時の顔が楽しみだぜぃ・・・ウシシ、、、を励みにがんばった約5時間後、ラジオ収録を終えたhideちゃんがスタジオに戻ってきました。「あれ?I.N.A.ちゃん、何やってたの?」「ほら、この前言ってたSOLD SOME ATTITUDE、、、作っといたよ。(自信満々 with ニンマリ)」「あ~あれ、やっぱやめたよ(あっさり)。」「な、なぬぅ!!!???(自身喪失 with ガッカリ)」、、、、、先に言えっつうの!!もう、今日は終了だぁ~~~!!!・・・って事になったので、レコーディングを切り上げ関係者全員で純カリフォルニア風(なんのこっちゃ?)の寿司屋に行き『オールナイトニッポンR&ロケットパンチ』無事終了の打ち上げをする事になりました。

15~16人くらいの食事会だったのですがが、次々とテーブルに運ばれてくる料理の数がハンパじゃない。みんな、「うまい、うまい」と食っていたが、いつまでたっても料理が途切れない。(やっぱ、ラジオ&TV関係の打ち上げは派手なんだなぁ。)と感心しているとスタッフのひとりが「こんなにいっぱいオーダーしたの誰?」「え~?僕じゃないです。」「私じゃないよ。」「俺じゃねぇ。」「誰だ???」「知らん」「知りません・・・・。」「・・・・・。」「店の間違いだぁ~!!!」そして、お勘定伝票をみて二度目のびっくり。$0が一個多いんでないかい?社会人になって初めての出張だったレコード会社の宣伝担当、新人のS君の顔が引きつったのは言うまでもない。ごちそうさまでした(笑)。さて、その後はいつも行く近所の呑み屋「ジェリーズ」にてカリフォルニアの法律で定められた呑み屋の営業時間ギリギリの深夜2時まで呑み、解散ということになりました・・・が、hideちゃんはまだ呑み足りない様子。車に乗った後も「ひろし!!呑み行くぞ!!!」と御機嫌なんだか怒ってるんだか、よくわからない状態。hide、JOE、I.N.A.を乗せた車はやってるわけもない呑み屋を探し深夜のLAを徘徊するのでした。

===翌日===
「いやぁ、昨日の帰りにさぁ、俺、アパートのエレベータん中で寝ちゃったらしくてさぁ、、、。」まったくこの人ってば、あと30メートル歩けば部屋で寝れるのに・・・。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その23
今日は『BREEDING』、『FISH』のドラムレコーディングです。実は『FISH』この時点で出来てなきゃイカン筈・・・が、まだ出来てません。デモのデモくらいです。でも、せっかくJOEにLAまで来てもらってんのに『BREEDING』1曲だけってのも悪い気がするので曲が未完成な事はJOEに内緒でデモアレンジに合わせてレコーディングをさせてもらいます。(ever freeのドラムレコーディングの時もそうでした。完成した後JOEに「俺こんな曲、叩いてねぇぞ。」って言われたっけ。)それでも「テクノロジーの進歩」と「I.N.A.マジック」ってやつで、後からでも何とかなってしまうのですよ、現在では。さて、機材のセッティングを終えドラムを叩きはじめるJOE。ん~~やっぱ、LAは音がイイねぇ。なんでだろ?空気が乾燥してるから音の延びが違うのか?楽器が乾燥してるから鳴りが違うのか?電圧が120Vだからアナログ録音機材がパワフルなのか?マイクの管理の仕方が良いのか?日本に比べてスタジオの防音がテキトウだから逆に良いのか?・・・いまだに、謎です。日本のスタジオで同じ音を出そうとするとエラク時間がかかるんだよなぁ。。。まぁ、理由は解らないけど結果的に聞いてよけりゃそれでイイんだけどね。

ERICさんがサウンドを調整していく間、JOEはドラムを叩き続けるのですが、さすが百戦錬磨、ドラムを一億回叩いてる男だけあってすごいスタミナ。全然疲れた様子を見せないんですよ、彼は。・・・でERICさんの調整が終わりhide with I.N.A.が望むドラムサウンドが完成すると、今度は曲に合わせて叩き始めるのですが、そこでさらに音量がパワーアップ。いったいどうなってるんだ?JOEの身体って・・・。そして、実際のレコーディング(本番)ではテープコンプ効果を得る為、アナログマルチレコーダーを使いノリ(Groove)重視で2~3テイク録音し、最も良い演奏部分をピックアップしデジタルマルチレコーダーにトランスファーした後、それらを繋げレコーディング終了ということになります。一般的にいうレコーディングとはここまでなのですが(ここまででも、かなり音的にこだわってます。普通はアナログマルチレコーダーを使わず直接デジタルマルチレコーダーに録っておしまいなのです。)さらにhideサウンドにする為にはドラムパートをデジタルマルチレコーダーとデジタル接続したコンピュータ内に取り込み、約1日かけて1500~2000ポイントにも及ぶ「I.N.A.マジック」という企業秘密エディットをドラムパート全ての音に施すわけです。同様にベースやギターパートにもエディットを施していくのですが、、、あれ?なんだか音楽専門学校の先生みたいかも、、、。I.N.A.はこの数カ月後、稲田教官と呼ばれるようになる事を今はまだ知らないのであった。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その24
『BREEDING』のドラムレコーディングに関する難しいっぽい説明をしていたら腹が減ったので夕飯タイムです。なんと、今日の夕飯は出前で「ギリシャ料理」。JOEが来ているので、彼の祖国の食べ物をというhideちゃんの心やさしい気づかいでした(笑)。僕はこの日、hideちゃんが今度のツアーでJOEにギリシャ彫刻のカッコをさせるだろう事を確信しました。しかし、この「ギリシャ料理」って物体、日本生まれ、日本育ちの私の口には合いません。アルバム『PSYENCE』のレコーディングの時に一度だけ食べた記憶があったのですが、春巻きの中身をぶどうの葉で巻いたような食べ物が今日も目の前に。口の中に蘇るニガイ思いで・・・食えっかこんなもん!!!。あれ?、みんな食ってる。

「ギリシャ料理」に打ちのめされた後、デモのデモ、スーパーメガバージョン曲『FISH』にドラムをレコーディングし、余った時間を使い新曲プリプロ作業用にドラムループを録らせてもらう事になりました。(簡単に説明すると次ぎなるプリプロ作業用に様々なテンポのリズムパターンを録っておくという事です。)今後、使いそうなドラムのパターンをhide with I.N.A.が口頭で録音ブース内でいろんなビートを叩きまくるJOEに説明していきます。

hide 「ドン.タタ・ドン・タッ!って感じでさぁ、、、」
I.N.A「もっとさぁ、ジャンジャンって感じで」
hide 「タン・タン・タンってアクセントが、、、」
JOE 「、、、聞こえない!!」
、、、果てしなく続くドラムループレコーディングにJOEが一言
『こっちの方が本番のレコーディングより疲れるよ。。。』
JOEさん、お疲れ様でした。日本で会いましょう。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その25
JOEが帰国した。ここ数日、日本人が大勢いたせいか基本レコーディングメンバーhide with I.N.A./ERICさん/味おやじGOTO三世(レコード会社hide担当ディレクター)/という4人での作業が新鮮に感じられます。今日からは「I.N.A. with 機材」がガラス1枚(本当は4枚)挟んだ隣のスタジオに移り、既に録音されているパート(JOEのドラム等)をコンピュータでエディットしていきます。その間にhideちゃんがメインスタジオでベース/ギター/ボーカルを録っていきます。録音が終わったパートは随時I.N.A.のコンピュータに取り込まれエディットされていきます。この段階になると僕達hide with I.N.A.のレコーディングはデジタルで繋がった別々のスタジオで流れ作業のように進行してゆくのです。実はこのコミュニケーションなさげな別室作業が、hide with I.N.A.サウンドの重要な鍵を握っているのです。プリプロ段階では2人で様々なアイデアをぶつけあいながら好き勝手にサウンドを構築してゆくのですが、ここでhideとI.N.A.が別室作業をすることによって「ここを改造したらhideちゃん、驚くだろうなぁ。」「こんなフレーズ入れといたらI.N.A.ちゃんびっくりすんだろうなぁ。」という見えない戦い?が繰り広げられた結果、プリプロ段階には出てこなかったアイデアが楽曲に盛り込まれるのです。僕にとっては、この最高なお客さんが「I.N.A.マジック」を聞いて、驚いたり喜んでる顔を見るのが至福の喜びだったりするわけです。さて、hideちゃんったら『FISH』のこと、あんまり気に入ってないみたいだから「I.N.A.マジック」で改造してやるかっ!!

・・・そして、約30時間後(次の日の帰りの車の中で)
I.N.A.「『FISH』を改造して軽くミックスしてみたんだけど聞いてみてよ。」
カーステ「♪~OH! FISH! FISH!! FISH!!!(仮歌)♪~OH! FISH! FISH!! FISH!!!(仮歌)」
hide「おっ!なんか、すげぇカッコ良くなってる!」
I.N.A.「(へへへ、、、。)いいでしょ?。」
hide「実は『FISH』、ボツにしようと思ってたんだけど、これ聞いてやる気でてきた。」
I.N.A.「じゃぁ、テープ持って帰っていいからさぁ、家でもう1回聞いてみてよ。」

、、、っうわけだ!。『FISH』君、俺様に感謝せ~~よ!!。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その26
『LEATHER FACE』、『BREEDING』のレコーディングを終え、この2曲のMIXと新曲のプリプロ作業を行う為にRECORD PLANT STUDIOにやってまいりました。僕達は帰国までの約1週間をここで過ごすことになります。このスタジオは昨日までのSUNSET SOUND STUDIOとはエラク雰囲気が違い、コンクリート打ちっぱなし&観葉植物&ビリヤードコーナー&ガラス張り室内ジャグジー等、プチ高級感をかもし出しております。(しかし、スタジオのスタッフはやけに冷たい・・・。人種差別すんなっつ~の!)移動後の初日はI.N.A.機材のセッティング、そして製作途中の曲のデータ整理です。セッティングをしているとスタジオ2Fの控室から僕を呼ぶhideちゃんの声が、「I.N.A.ちゃ~~~ん、早く来て来て!!。」行ってみると、な、なんと、『ピンクスパイダー(PV)』の完成品が届いているではないですかぁ。さっそくビデオデッキを借りてきて観賞会となりました。

「♪♪♪桃色のくもが空を流れる。。。。」

hide「、、、こりゃ、すげぇわ。」

もう、まさに、この一言につきますな。丹監督、素晴らしい作品をありがとさんです。そして観賞後hideちゃんに「このビデオ欲し~~い。」とテレパシーを送り続けていると「I.N.A.ちゃん、このビデオ持っていってイイよ。」「マジでぇ!?。やったぁ~~~。」俺は超能力者だぁ!!!

おまけ
ここのスタジオのアシスタントエンジニアは夕食の時、チャーハンをおかずにしてライスを食べてました。アメリカ人のやることはいまいちわからん・・・。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その27
さて、『ピンクスパイダー(PV)』を観賞後、ミーティングタイムとなりました。現在進行中のアルバム『Ja,Zoo』のレコーディングをこのままLAで続けていっても、春~夏にかけて予定しているツアーにはリリースが間に合わないという事が発覚したのです。そりゃ大変だぁってなもんで、98年のhide with Spread Beaver&zilchの活動スケジュールを大幅に変更することになりました。そして、仮決定となったおおまかなスケジュールがこんな感じです。

4月末/帰国後『ピンクスパイダー』&『ever free』プロモーション(がんばれ!!。)

5月/プロモーションと並行して『Ja,Zoo』のレコーディング(がんばろう!!!。)

6月/LAにて『Ja,Zoo』のMIX&MASTERING(JALのマイレージがまた貯まるでぇ。)

6月中~/『ROCKET DIVE』『ピンクスパイダー』『ever free』をひっさげての『プリ・Ja,Zoo』ツアー(そりゃ大変だ。)

7月/zilchアルバム『3・2・1』リリース&zilch全国ツアー(、、、ってことは6月はhide with Spread Beaverツアーをやりながらzilchのツアー用アレンジってことかい?。)

8月/夏のイベント多数参加&MIX LEMONed JELLY(また、今年も寝られへんのかい。)

9月/シングル・リリース(オイ!!いつ、創るんじゃい。)

9月中~12月末/『Ja,Zoo』リリース&全国ツアー『1998 TRIBAL Ja,Zoo』(、、、で、休みは?)

これが「馬車馬のように働く」と言うことなのですね、hideちゃん。。。

・・・というわけで、基本的には怠け者の稲田くんはこの1998年過密スケジュールにショックを受けたのでした。が、それに追い討ちをかけるかのごとくスタッフ(fat free)が一言。「実は稲田さんに内田有紀さんのプロデュースの話がきてるんですけど・・・。」半年間芸能活動を休業していた彼女の復活第一段の新曲のキーワードはロック的アプローチ。初めはhideにプロデュースの話がきたのだが、hide事務所が無理と返答した結果、回り巡ってhideといっしょにhideサウンドを創っているI.N.A.さんにお願いしたいってなことになったのだ。

I.N.A.「、、んなこと、言ったってこのスケジュールでできるわけないじゃん。」

hide「いや、I.N.A.ちゃん。これからは俺以外のこともやってもらわないとダメなんだよ。内田有紀のプロデュースをやる事によって名前が売れれば、hide with Spread Beaverにも還元されるんだから。」

スタッフ(fat free)「、、、で、先方は6月中には完成させたいと言ってるんですが。」

I.N.A.「(勝手なこというなぁ~~~!!。)絶対無理!!!。マジでスケジュール的に無理だってば。やる日ないじゃん。」

hide「だいじょうぶ。だいじょうぶ。やんなよ。スケジュール的に厳しかったら作曲とか他の人に頼んでもイイんだから。そんでI.N.A.ちゃんがアレンジとかすればイイんだよ。だれかイイ作曲家知らないの?」

僕はすかさず松本秀人を指差した。

I.N.A.「ア・ン・タ!(笑)」

hide「ははは(笑)、、、俺は無理(マジ顔)。」

結局、hideちゃんに丸め込まれて?内田有紀のプロデュースをやることになったのでした。

hide「あとさぁ、9月に出すシングルはバラードっぽいものにしようと思ってるんだ。で、そのカップリングが『TELL ME』。hide with Spread Beaver全員で一発録りでやりたいんだ。A面は今までどおりI.N.A.ちゃんと2人で創って、B面はSpread Beaver全員、せ~のでガ~~って音出して、俺とI.N.A.ちゃんの2人で創った音もhide with Spread Beaver7人で創った音も聞いた人が「結局、出てくる音はいっしょじゃん!」ってのがやりたいんだよね。」

、、、もう知らん。そんな先のこと。。。今やるべきことは、、、機材のセッティング。さっさとやっちまうぜ。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その28
新曲プリプロ用機材セッティング終了後もhideちゃんはプリプロスタジオに戻ってきません。どうやら隣のスタジオで『LEATHER FACE』のMIXに対しての注文をしているようです。先日録音した新曲プリプロ作業用ドラムループをコンピュータに立ち上げて準備でもしとくんべと思い、データをチェックしているとなんとそこにhideとJOEの会話が入っているのを発見したのです!!(まぁ、たいした事じゃないんだけどね。)JOEの声が録音されてるなんて今までなかったので、こりゃ面白いやと冗談120%でドラムループに合わせてJOEの声をプログラミングして『♪ドンドン・タンッタ・聞こえない・タドンタッ♪』『♪ドンドド・タンタタ・聞こえない・タドンタ♪』などと遊んでいると突然hideちゃんが戻ってきた。

hide「何これ!?。」

I.N.A.「なんか、データにJOEの声が入ってたから遊んでんの。」

hide「かっこいいじゃん!!使おう!!。」

I.N.A.「えっ!マジで?。」

hide「うん。ところで今、何(データ)が立ち上がってる?。」

I.N.A.「『FISH』かな。」

hide「じゃぁ『FISH』のイントロで使おう。」

I.N.A.「(スマン、JOE。。。遊びのつもりが、、、。)...OK!!。」

これをきっかけに『FISH』の制作が再び始まるのでした。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その29
『LEATHER FACE』のMIXが終了したようです。この曲のMIXエンジニアはzilchでもお世話になっているBILL KENNEDY氏。完成品のテープを帰りの車内で聞きながら僕達は「イイねぇ。」「やっぱBILLのMIXはすげぇよ。」などと言いつつ上機嫌でした・・・夜が明けるまでは・・・。

翌日、

I.N.A.「hideちゃん!!大変!!。家帰って聞いてたら『LEATHER FACE』の最後の方に入ってる筈のチョッパーベースソロが入ってないよ!!!。」

hide「うそっ!!!!。」

弘法も筆のなんとかか?曲の最後のキメに入っている1小節のベースソロがきれいさっぱりミュートされているではないですか!KENNEDYさんやっても~~たなっ!!スタジオでチェックの為もう一度聞いてみると、、、、やっぱり入ってない!!。MIX機材を片付けてしまった今となってはやり直しもできない状況、、、っつ~か、今日はBILL来てないし、、、どうしよう・・・。

hide「・・・でも、昨日スタジオで(完成品)聞いた時に気付かなかったって事は入ってなくても全然だいじょうぶって事じゃない?。アレンジ的には。」

I.N.A.「、、、そ、そうだね。」

hide「、、、そうだよ。」

hide+I.N.A.「、、、そうだ。そうだぁ~~~。」

一件落着となりました。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その30
隣のスタジオでhideちゃんがERICと『BREEDING』のMIX作業をやってる間に僕は新曲『コギャル(仮)』のリズムトラックを作っております。この曲のドラムパートは98年1月、『ピンクスパイダー』のドラムをレコーディングした時ZEPPET STOREのドラマー柳田君に「もしかしたら他の曲で使うかもしれないので。」ということで叩いてもらったモノです。録った時は本当に仮の仮の仮な感じで、曲のテンポのクリック音に合わせた「ドラマー独り演奏状態」でのレコーディングでしたが、この演奏が意外に良い音で録れていたこともあり、わざわざ新たにレコーディングしなおさなくてもイケてしまうんでは?という結論に達したわけです。「I.N.A.マジック」を使って柳田独り演奏を『コギャル(仮)』に当てはめていくうちに、なんだかボーッとしてきて(やべっ、こりゃ風邪ひいたな。熱だ。。。)とってもヤバげな状況に陥ってきた。そのことをhideちゃんに告げると「じゃあI.N.A.ちゃん、今日帰ってイイからゆっくり休んでよ。俺、『コギャル(仮)』の歌詞考えとくから。」という優しいお言葉。

しかし、『BREEDING』のMIX作業をhideちゃんひとりに任せっきりにするのもなんだなぁと思い、お言葉に甘えつつ「家には帰らないけど風呂に入らせてもらいます(笑)。」と一言。I.N.A.ちゃんはRECORD PLANT STUDIOに職場を移して以来いつの日か、あのガラス張り室内ジャグジーに入ってやるのだぁ~!という密かな計画の元に毎日「海パン」を持って来ていたのでした。LAに長く滞在していると無性に肩までつかる風呂に入りたくなるんだよね。さっそく水着に着替えジャグジータイム。ガラス張りの向こうに見えるは『コギャル(仮)』の歌詞を真剣に考えているhideちゃんの姿。相方に仕事させ自分はジャグジー三昧。なんだか殿様気分!!、、、なんつって。

「、、、スミマセン。明日までには治しときます。(反省)」

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その31
『HURRY MERRY-GO-ROUND』

ボツ一歩手前から奇跡の生還を果たした『FISH』が、メロディーの変更&仮歌のレコーディングを終えるとともに『FISH SCRATCH FEVER』となった今日このごろ、そろそろ次なる曲『memo2(仮)』のプリプロ作業に入りましょってことになりました。97年冬、山中湖での曲作り合宿の段階からほっぽらかしにされていたこの曲、既にスーパーデモテープとして2つのバージョンが出来ております。1つ目は『Hi-Ho』に近いアレンジで『memo2/山中湖レゲエバージョン』という曲名。2つ目は『memo2/山中湖3拍子バージョン』。新たなアレンジ作業に入る前にhide+I.N.A.でこの曲の方向性について話し合った結果、まずデモテープの2バージョンのリズムを1つにまとめる事が決定した。曲の前半が4/4拍子、後半からは3/4拍子になりつつもHIP-HOPやレゲエのテイストを兼ね備えたリズム、、、、。ん?3拍子のHIP-HOP???そんなモン聞いたことねぇぞ!ってなイキオイでI.N.A.ちゃんったら、「と、とりあえず、1日くれ、、、(悩)。」とは言ったものの、さすが天才?天災?プログラマーI.N.A.ちゃん。その日の夜にはちゃんと新しいバージョン(リズムトラック)を作り上げておりました。そこで、アコギを持ったhideちゃん、シンセ担当I.N.A.ちゃん、ピアニストもどきの「味おやじGOTO三世(レコード会社hide担当ディレクター)」の3人で出来たてのリズムトラックをバックにセッションをすることに。

「♪~スチャ、スチャ、スチャ、スチャ、♪~~」

「♪~ラ、ララララ、ララララァ~~(まだ、歌詞がないのだ。)♪~~」

「♪~スチャ、スチャ、スチャ、スチャ、♪~~」

締めきり!&締めきり!!&締めきり!!!と言われ休みなく働き続けた心と身体にはセッションが一番だねぇ。3拍子がメリーゴーランド風で良いねぇ。回る回るだねぇ。。などと言いつつ思いつつ、山中湖合宿でこの曲の原形を作った時hideちゃんが口ずさんでいたメロディーをI.N.A.ちゃんがストリングスの音で弾き出すと♪

hide「おっ、イイねぇ。ストリングス!。」

翌日、歌詞が完成し『memo2(仮)』はめでたく『HURRY GO ROUND』となりました。仮のアコースティックギターと仮ボーカルをレコーディングし終わり、次ぎはI.N.A.ちゃんが昨日弾いてたストリングスパートをレコーディングしようかという段階でhideちゃんったら「この曲はもう(完成型が)見えたから終わり。おいといて『Spread Beaverのテーマ』やろう。」え~~~っ、ストリングス忘れないように入れときたいのになぁ。まぁ、半年前の山中湖ん時のフレーズを忘れなかったくらいだからだいじょうぶか・・・。いちおう頭の中にセーブしとくか。

そして、帰りの車中(帰りの車で2人は、毎日曲に関するミーティングをしているのだ。)hideちゃんから頼もしい一言。 「やったよ、I.N.A.ちゃん。この曲ができたおかげでアルバム全体像が見えたよ。」

完成間近か?『Ja,Zoo』。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その32
「『Spread Beaverのテーマ』はサーフドラムンベースにしよう。」「ライブのオープニングが見える曲にしたいね。」「メンバーが順番にステージに出てくるような感じでさぁ。」、、、と曲作りプリプロ前に完成型を夢見てしまう場合、いざ創り始めるとハマってしまってなかなか先に進まないパターンが多いのだけれど・・・。見事にハマっちまいました。I.N.A.が作った仮のリズムパートに合わせてhideちゃんがギターを弾いてフレーズを固めていくのだが全然先が見えてこないのだ。方向性を変えようということになり、今度はキーボードで和音を構成していく・・・。プリプロは続き、約1時間後。

I.N.A.『なんかこの曲、、、どっかで聞いたことない???。』

hide『、、、ほんとだ!。ホワイトポエムだぁあああ!!!。』

キーボードでアレンジを進めていくうちに、いつのまにかX JAPANの曲『White Poem Ⅰ』にそっくりなコード進行になっていたのです。hideちゃんの「却下!」の一言で作業はふりだしに戻り、気分転換にと曲のエンディングを先に作ることになりました。hideちゃんの希望でエンディングは映画007のテーマのラストに使われているコードと同じものを。007のCDを繰り返し聞きながらhideちゃんは必死でそのコードをコピーしています。

hide『ジャ~~~ン!。、、、音はあってるのに007の感じにならないんだよなぁ。』

I.N.A.『なんでだろ?。』

hide『ジャ~~~ン!。ほら、あってるでしょ。』

まさにギターを始めたばっかの中学生状態ですな。

I.N.A.『ん~~、オリジナル(007)はチューニングがあまいんじゃないかなぁ?。』

、、、ギターのチューニングを微妙にずらしていくhideちゃん。

hide『ジャ~~~ン!。おっ!やった!!これだぁ~~!!!。』

hideちゃんはよっぽどコピーできたことが嬉しかったらしく、2F控室にいるディレクターにそれを聞かせる為にジャ~~~ン!ジャ~~~ン!とギターをかき鳴らしながらスタジオから出ていってしまいました。フフフッ、なんともかわいい奴だ。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 その33
hide with I.N.A.、LAでのプリプロ最終日にzilchのRAVENが『3・2・1』リリース後のツアーの打ち合わせにやってきました。今日はプリプロ最終日ということもあり、深夜0時には作業を終えて帰国の準備(機材のパッキング)を行わないといけないのですが、真面目な話をしてるっぽいので僕は席をはずしビリヤードで遊びまくってしまいました。RAVENが帰るとさっそく『Spread Beaver』の作業にとりかかるhide with I.N.A.。ギターのメロディーやhideコーラスを録り終え、I.N.A.ちゃんパートを構築していくうちに時計の針はすでに深夜0時ちょっと前。「結局『コギャル(仮)』の仮ボーカルは録れなかったねぇ。」などと言いつつ2人は渋々とプリプロ作業を終了いたしました。Ja,Zoo hide with I.N.A. in LAの作業はこれで全て終了。後は日本でのレコーディングを残すのみなのだが、スケジュールはいっぱいいっぱいだ。こりゃ、日本に帰ってからも休めそうにないな。。。

がんばれ!hideちゃん!!

働け!パソコンロッカ~~~!!。

Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 エピローグ
僕にとってhideって何なんだろう?。2000年1月1日、ベッドに入ってからふとそんな事を考えると眠れなくなっていた。時計を見ると朝の7時をまわったところだった。スペースシャワーTVのhide特番を観たせいかなぁと思いつつ、こんな時は"hide with I.N.A. LA編"の最終章でも書くかとMACの前に座ると何故か彼と出会った頃の記憶が蘇ってきた。だから思いついたまま書いてみることにした。

彼との出会いは91年の夏、『X』のViolence In Jealousyツアーのリハーサルスタジオだった。当時シンセサイザープログラマー(マニピュレーターともいう)としてスタジオミュージシャンの世界で活動していた僕は、知り合いの紹介により『X』のライブツアーに参加することとなったのだ。リハーサル初日、『X』メンバーの酒関係の武勇伝?を聞かされていた僕はビビリつつスタジオでメンバーの到着を待っていたのだが意外にもそこに現われたメンバーは会ってみるとやさしそうな人達だった。なかでも印象的だったのがHIDEで、『HIDEの部屋』と呼ばれるソロコーナー用のSE(効果音)にと彼の叫び声をサンプリング録音していたのだが「ぅぎゃ~~~」などと2~3回叫んだ後「なんか、恥ずかしくなってきたからもういいよ。」と言ってやめてしまった時のハニかんだ表情が今でも忘れられない。ツアー初日前夜、地方のホテルでの食事の後、まだみんなに馴染めないでいる僕に「マニュさん(たぶんマニピュレーターだから、、、(笑))、いっしょに呑みにいこうよ!。」と優しく誘ってくれたのもHIDEだった。ライブでいっしょに音を出すうちにメンバーと僕の間には信頼関係ができたようで、ツアー後にはYOSHIKIの曲創りを手伝うことになり、更にYOSHIKIと小室哲哉氏のユニット『V2』にも参加した。

『X』が『X JAPAN』になり「ART OF LIFE」のレコーディングの為に渡米することになった時には、僕はそれまで勤めていたシンセサイザープログラマーの会社を辞め『X JAPAN』とともにLAに上陸した。初めての海外生活によるストレスもHIDEやHEATHと呑み歩く事で随分と解消されたことを思い出す。LAに来て約1ヶ月後、HIDEはHIDE/J/INORANという3人のユニット『M*A*S*S』の曲創りをしていたのだが、慣れない機材を使っての作曲はどうもうまくいかないらしく「イナちゃん、手伝ってくれないかなぁ。」の一言から僕の『M*A*S*S』への参加が決定した。思えばこれが『hide with I.N.A.』の始まりだったわけだ。それから約3ヶ月後、「ART OF LIFE」のギターを録り終わり先に帰国していたHIDEから僕の部屋に国際電話がかかってきた。「こんどTUSKとビデオを作るからそのサウンドトラックが必要なんだ。いっしょに手伝ってくれない?」という内容だった。僕は『X JAPAN』から1週間の休みをもらい帰国してHIDEと共にスタジオに入った。今になってその時の作品を聞いてみるとhide 1st ALBUM『HIDE YOUR FACE』に様々な要素がフィードバックされているのがよくわかる。ギターサウンドとコンピュータサウンドの融合への第一歩が感じられるのだ。

更に数カ月後「ART OF LIFE」での作業を全て終え帰国した僕はHIDEがhideとしてソロデビューすることを知った。そして『M*A*S*S』から数えて3度目の彼との共同作業が始まった。デビューシングル『EYES LOVE YOU』&『50%&50%』の完成を目前としたある日僕はhideに誘われるまま六本木にあるパラノイアカフェという店に呑みにいった。(、、、というか、その頃はレコーディング後毎晩いっしょに呑みにいってたけど。)そこで僕はhideに口説かれたのだ。それまでいわゆる職業ミュージシャンの仕事として他人の音楽のサポートをしていることに疑問を持っていた僕に彼はこんなことを言った。「俺といっしょにやらない?でも、やるなら俺の事だけに専念して欲しい。イナちゃんの才能を切り売りさせたくないから・・・。」男気あふれる直球勝負の口説き文句に戸惑う僕。さらに彼はこう続けた「でも、いっしょに音楽を創るんだから俺に雇われてるって考えるのはやめてくれ。良いものは良い。悪いものは悪い。って何でも言ってくれ。じゃなきゃ、いっしょにはやれないから。これから俺は自分が良いと思った人達を集めて最高最強のチームを作りたいんだ。」なんとも嬉しい言葉に感動した僕は即決でそれをOKした。数週間後、気がつけばLAの青い空の下、8帖間のプリプロルームで2人してシコシコ音楽を創り続ける毎日が始まっていた。

それから6年半、、、。僕にとってhideって何なんだろう?。

、、、わからないけど、、、たぶん惚れたんだろうな、奴に。


Ja,Zoo hide with I.N.A. in LA編 終わり。